2013年07月25日
カラスの「マノン・レスコー」
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プッチーニの3作目のオペラで、このあたりから、彼の音楽の特質である感傷的な旋律の美しさがはっきりとあらわれてくる。
これは、カラスの一連のEMIへのレコーディング開始から4年後の1957年に録音されたもので、彼女は当時34歳、全盛期をやや過ぎつつある頃の、同曲唯一の全曲録音である。
カラスの絶妙の心理描写と性格表現、ディ・ステファノの情熱にあふれた歌唱がそれぞれ互角の存在感を示している。
とりわけカラスのマノンは傑出しており、大金持ちの娘として育ち、美しさゆえに苛酷な運命にもてあそばれるヒロイン、マノンを、これほど気高く、やさしく、表情ゆたかに歌いあげた歌手は、おそらくほかにいないだろう。
カラスは少しの声の衰えも感じさせないばかりか、ドラマの進行に伴って一層見事になっていく歌唱にも深みがあり、これほど知的に、心理的に歌われたマノンはない。
言葉やフレージングへの計算は細部まで完璧だ(反面、奔放さや色気に欠けるけれども)。
多血質な、デ・グリューのディ・ステファノも、持ち前の甘美な美声を生かしながら、適切な性格づけを行っており、聴かせる。
フィオラヴァンティのレスコーも最良の歌唱だ。
セラフィンの指揮も、プッチーニ独特の流れるように美しい旋律を歌わせながら、起伏の大きな音楽を作り上げており、見事だ。
セラフィンの指揮は派手さこそないが理想的であり、音楽的充実度と堅実さは、玄人中の玄人の仕事として深く心にしみいってくる。
そして、この1957年の「マノン・レスコー」の驚くばかりの音の良さ。
もともとクリアな音質だったが、復刻の名手マーク・オーバート=ソーンはその音に更に磨きをかけ、いっそう聴きやすくなった。
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