2011年05月03日

コルトーのシューマン:ピアノ作品集


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筆者は、物心がついたときから、コルトーのシューマンに魅せられ、ほかのどんな名演奏を聴いたあとにも、必ずここに帰ってきたくなる素敵な演奏である。

同じくコルトーがピアノを弾いて、パンゼラが歌った《詩人の恋》でも明らかなように、コルトーのフランス人としての洒脱な感覚がドイツのロマンティシズムと結んだ格別の味わいが、彼のシューマン演奏にはある。

それに加えて当時の音楽家の多くがそうだったように、作品を完全に自分の体内に消化吸収したのちに、借り物ではない"自分自身の感興をほとばらせた音楽"をして出してくるので、多少あるミスなどは何の邪魔にもならず、音楽が自分にふさわしい奏者を得て自分から鳴りだしたような自然さで魅了する。

20世紀前半を代表する名ピアニストの1人であるコルトーの名を聞いたら、人はまずそのショパンの演奏に思いを馳せられるかもしれない。

たしかに彼のショパンは一世を風靡した優れたものであったが、筆者にとって、より忘れ難いのが、実はシューマンの演奏である。

もともとドイツ・ロマン派の権化のような音楽に、どうしてフランスのピアニストが惹かれ、また優れた演奏を展開するのかは謎であるが、とにかくその豊かなロマン性を湛えた音楽は、コルトーの明晰なタッチから生み出されるクリアーな音質によって一層引立てられているように思えるから不思議なものだ。

シューマンのファンタジーを表現する点で、コルトーに匹敵するピアニストはいない。

細かく揺れ動くテンポに乗って、繊細な感情も若々しい情熱も運ばれ、これほど生き生きと表現した演奏はほかにない。

シューマンが詩人であったように、コルトーもまた詩人であったことを実感させてくれるディスクである。

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classicalmusic at 00:09コメント(4)トラックバック(1)シューマン | コルトー 

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1. 初心者でも28日で弾ける!簡単ピアノレッスン  [ 教えたい ]   2011年05月05日 08:50
正直に告白すると... 人人人人人人人人人人人人人人人 28日もあれば、ピアノは...

コメント一覧

1. Posted by ベスベルゲ   2011年07月11日 02:08
はじめまして。

仰るとおりだと思います。

シューマンのピアノ協奏曲や詩人の恋は何回も聴きました。

ショパンの前奏曲集も何回も聴いたのですが、その後で聴いたシューマンは別格の演奏で素晴らしいと思いました。

個人的には芸術は妄想だと思ってますが、コルトーの演奏はもっと古い時代の演奏と比べてみても その極致だと思います。こういう音源が聴けるのはありがたいことです。
2. Posted by 和田   2011年07月11日 11:50
ベスベルゲさん、コメントありがとうございます。

フリッチャイとのシューマンのピアノ協奏曲の曲想の抉り方とロマンティシズムの極致ともいえる演奏は別格ですよね。

それにパンゼラとの「詩人の恋」の伴奏も詩情にあふれていて、とくに第12曲と終曲は胸を締め付けられます。

貴殿は芸術は妄想だと指摘されましたが、私はコルトーのシューマンは幻想的だと感じます。

またのコメントお待ちしております。
3. Posted by ベスベルゲ   2011年07月12日 01:57
お返事ありがとうございます。

妄想は仲間内で時々使う言葉で、不用意に使ってしまいました。このブログのような文面に出会うことはあまりありませんので ついつい仲間うちの言葉を使ってしまいました。この協奏曲の演奏には不適切な言葉でしたね。失礼しました。

やはり幻想的というのが良い表現ですね。

コルトーの演奏は、指揮者としての視点や、ピアノ教則本といった基礎的な視点や、大量の読書もしたのかなとも思いますし、そのような圧倒的な音楽的知識や経験を有しながら、実はそういうものすべてを感性が支えており、さらに舞台当日に恐らく一音目を打鍵したときに立ち上がる一期一会の幻想に、それまでの楽曲分析や練習や直前リハや、打ち合わせのこまごましたことを乗り越えてしまい、さっと体全体で反応したんだと思います。

それと 音そのものに巨匠たちの魅力が潜んでいるのだと思います。

かつてカザルスの公開レッスンを聴講した方が、カザルスは開放弦を一音弾くだけで音楽になるのだと仰っていましたが、この協奏曲の1つ1つの音でもそのようなことを感じます。

それにしても60年近く前の音源で、会場の異様に緊張したかのような雰囲気まで伝わってくるとは、音楽ってすばらしいものだと思います。

他の文面の少しずつ拝見しています。ありがとうございました。
4. Posted by 和田   2011年07月12日 03:19
ところで、コルトーは名ピアニストであるとともに、名教師でもありました。

コルトー門下から育ったのは、リパッティ、ハスキル、ハイドシェック、遠山慶子などですが、一人ひとりの個性の違いにびっくりします。

格調高く厳しいリパッティ、デリケートで素朴なハスキル、愉悦的で即興的に遊びぬくハイドシェック、女性的にしっとりとした遠山慶子。

そこには何ら型にはめこんだ跡が見られません。

一般にすぐれた教師は生徒の欠点には目をつぶり、長所だけをのばそうとします。
しかし、コルトーはその上をいきます。

欠点に目をつぶればそのまま残る。名教師コルトーは欠点を長所に変えてしまうのだそうです。

改めてコルトーの偉大さに頭が下がる思いを禁じ得ません。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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