2011年05月02日

クレンペラーの「ドン・ジョヴァンニ」


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クレンペラーのモーツァルト/オペラ第2作で、1966年の錚々たる顔ぶれによる名盤である。

このクレンペラー指揮の《ドン・ジョヴァンニ》は、非常に重厚でデモーニッシュな《ドン・ジョヴァンニ》だ。

徹底的に19世紀ロマン主義の伝統を継承した演奏で、デモーニッシュなドラマとしての側面を強調する。

テンポは全体に遅めでゆったりとしており、スケールの大きさを感じさせる。

歌手ではなく、指揮者が演奏全体をリードした好例で、凄まじいばかりの強靭な楽器の鳴らし方、ごつごつした感触、悠然たるテンポ、それらが一体となって、異常なまでの緊張感と集中力、全体を覆う暗いトーンをもたらしている。

歌手陣の充実は特筆もので、クレンペラーの意図を反映して、凛々しく精悍なギャウロフのドン・ジョヴァンニは豪胆で、骨太、暴力的とさえいえるドン・ジョヴァンニを歌い、役柄にぴったりのベリーのレポレロには重厚さが目立つ。

貫禄充分のフランツ・クラスの騎士長、高声の安定したクレア・ワトソンのアンナ、格調高いゲッダのオッターヴィオ、官能的なルートヴィヒのエルヴィーラも責任を見事に果たしている。

それにまだ若いフレーニのツェルリーナ、さらにこれもまだ若い頃のモンタルソロのマゼットとくるのだから、溜息の出るような豪華さだ。

タイトル・ロールを歌うギャウロフが、シエピのように情熱的に女を口説き落とすのではなく、何か強姦魔的な雰囲気を漂わせているのも、イタリア系とスラヴ系では同じバスでも音色に違いがあるというよりは、むしろクレンペラーの音作りに由来するものであろう。

そうした意味でも、この録音におけるいちばんの聴きどころは、第2幕第15場における、ドン・ジョヴァンニの地獄落ちの場面である。

死への恐怖に満ちた音楽であり、まさに、デモーニッシュという形容詞がふさわしい。

自分が死ぬときもきっとこんなふうなんだろう、と思わず怖い想像を働かせてしまうほどで、ちょっとした臨死体験でもある。

この曲の最もスケール雄大なデモーニッシュな演奏として、独自の存在を主張するものだ。

オケもフルートの音を強調するなど、面白く聴かせてくれる。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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