2010年09月02日
ガヴァッツェーニのヴェルディ:シモン・ボッカネグラ
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このオペラにはとくに有名なアリアはなく、どちらかというと渋い味わいの作品だが、音楽も非常にすばらしく、また題名役はバリトンなら誰もが歌いたがる役のひとつでもある。
しかし、シモン・ボッカネグラ役とヤーコポ・フィエスコ役には声の力より豊かな表現力が要求され、すぐれた指揮者でないと作品の本質を表現できないという難しさもある。
これまでの録音で、そうしたすべてをもっとも満たし、感動させてくれる演奏はアバド盤と、忘れ去られつつあるこのカヴァッツェーニ盤である。
トスカニーニ、セラフィン、デ・サーバタ、グイ、カプアーナ、ヴォットー……、きら星の如くいた"イタリア・オペラの黄金時代"を支えた名指揮者の系譜の最後のひとりが、ガヴァッツェーニであった。
ヴェルディの時代からプッチーニの時代の空気を吸ったこれらの人々の音楽は"伝統"という二文字の重さをわれわれに教えてくれる。
ガヴァッツェーニはただのオペラ指揮者ではなく、作曲家、評論家としての活動した見識ある音楽家で、アバド以前のミラノ・スカラ座の重鎮的な存在だった。
《シモン・ボッカネグラ》は、アバド盤の美しい演奏が知られているが、この"男のドラマ"としてのオペラを、最も男性的な骨太さ、逞しさでまとめあげているのは、このガヴァッツェーニ盤だろう。
その彼は演奏の手綱をしっかりと引き締めつつ、ゴッビ(題名役)、ジェンチル(マリア役)、トッツィ(フィエスコ役)、ザンピエリ(アドルノ役)らに奔放な歌と声による演技の場を解放し、それを引き立てている。
オケがウィーン・フィルというのも魅力で、その豊かな表現力には感嘆の他はない。
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