2011年05月08日

クリュイタンス・パリ音楽院管/1964年来日公演 ラヴェル管弦楽曲集


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クリュイタンスとパリ音楽院管弦楽団の最初で最後の来日公演は、1964年5月であった。

その中で、ベルリオーズの《幻想交響曲》と、この『ラヴェル・フェスティヴァル』が録音されたのは、実に幸いなことである。

《スペイン狂詩曲》、《マ・メール・ロワ》、《ラ・ヴァルス》、《クープランの墓》、《亡き王女のためのパヴァーヌ》、《ダフニスとクロエ》第2組曲というプログラムで、そのすべてがすばらしい演奏だ。

どの曲でもクリュイタンスの端正で想像力に富んだ解釈が、パリ音楽院管弦楽団の繊細で典雅な響きと結びついて芳醇なシャンパンを思わせる演奏を行ない、聴く人を快い酔いに誘ってくれる。

とくに《ラ・ヴァルス》で、混沌のうちにワルツの旋律が少しずつ形をとりながら浮かび上がってくる時の洗練されたニュアンスは忘れ難い。

また、《ダフニスとクロエ》の冒頭「夜明け」で、オーケストラの管と弦がキラキラと輝きを放ちながら、しだいに音量を加えていく時の解釈は、実に繊細で喚起力に富んでいる。

ラヴェルの音楽の古典的な性格、明晰な造型、洗練された感覚を、これほど鮮やかに再現した演奏はない。

クリュイタンスは、決してオーケストラを強い意志で引っ張ってゆくタイプの指揮者ではない。

むしろ、オーケストラの個性を引き出し、自発的な演奏に向けてまとめてゆくタイプである。

このような彼の資質が、一つ一つの情景を生き生きと再現していた。

実際、いま久々にクリュイタンスのラヴェルを聴いてみても、オーケストラの芳香、デリカシーにみちたディテールの仕上げなど、その魅力は、時代を経てもいささかも失われていない。

来日の翌年、クリュイタンスは癌で亡くなり、パリ音楽院管弦楽団は解散してパリ管弦楽団に変わってしまった。

62歳の死は、指揮者として円熟期を迎えたばかりの彼にとっては悲劇であった。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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