2007年12月24日
カラヤンの「ばらの騎士」(新盤)
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再録音のグラモフォン盤は1983年からザルツブルク音楽祭で行われている上演と並行して、同一のメンバーで行われた録音。
カラヤンはこのオペラのもつ逸楽と官能と飽和とを存分に解放しながら、その天分と才能の最良のものをここに結晶させた。
「ばらの騎士」がこれほどかぐわしい香りと美しい色をもって咲き出したことはかつてあるまい。
元帥夫人とオクタヴィアンはかつての旧盤を凌ぐとさえ思わせる。
カラヤンは元帥夫人の想いの深さなどに、ちっとも共感していないんじゃないだろうか。
というより、《ばらの騎士》のドラマそのものに。
かつて一般的なオペラとしての演奏を行なったカラヤンは、ここで配慮も何も捨てて、自分自身の《ばらの騎士》の美を実現されている。
元帥夫人の悩みもオクタヴィアンの迷いも、ここではただの素材に過ぎない。
何もかもが、ウィーン・フィルの豊麗を極める響きの中に溶け込み、《ばらの騎士》という声と管弦楽の魔法の世界が現れる。
これがオペラか? そんなことはどうだっていい。
これは「カラヤンの《ばらの騎士》」というもので、ほかに類を見ない、ひとつの音楽世界なのである。
さらに、ここでのカラヤンの指揮は、いささかの諦観をただよわせ、絶品である。
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