2013年07月21日
ジュリーニのヴェルディ:レクイエム(旧盤)
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
ジュリーニの旧盤は録音は古いが、それでも演奏の質という点では捨て難い魅力がある。
ヴェルディの『レクイエム』は、ともすると作品の質そのものにオペラティックな性格の部分が多く含まれるために、単に盛り上げるだけの外面的な効果を狙った演奏もある。
ジュリーニは、そんな中にあって美しい歌のカンタービレの魅力と、劇的な高揚感を失うことなく宗教的な情感をも見事に表出している点で、きわめて優れた表現を成し遂げていると言える。
例えば、「ディエス・イレ(怒りの日)」の最後の審判を恐れる嵐のような激情も決して浮き足立つことなく内面的に描かれる。
続く「トゥーバ・ミルム(奇すしきラッパの音)」の最後の審判を告げるトランペットのファンファーレも静かな緊張感に満ちているために、その後の次第に増幅され爆発的なトゥッティに至る最後の審判のドラマがまさにリアリティを持って表現される。
この部分は若きギャウロフの深いバスの声も印象的。
最後の「リベラ・メ(我を救いたまえ)」の壮大なフーガの切れ味の良い進行と消え入るように静かに歌われる終結の対比も見事で聴くものを強く引き付ける。
このように旧録音でのジュリーニは、フィルハーモニア管と合唱団を見事にコントロールし、この作品の多彩な魅力を余すところなく伝えてくれる。
また、前述したギャウロフをはじめとするソリスト陣のジュリーニの意図を見事に汲みとった歌唱もすばらしい。
特にシュヴァルツコップの真摯な歌唱は、イタリア系のソプラノにはない、まるでリートを聴くようなユニークな魅力を持っており、宗教的な敬虔な雰囲気を引き出す大きな要因となっている。
同時期録音のヴェルディ「聖歌四篇」が併録されている。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。