2011年06月20日

ブレンデルのベートーヴェン:ディアベッリの主題による33の変奏曲


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ブレンデルの演奏は、最初の主題から、生き生きというだけでなく、弾むようなリズムと、前のめりするようなシンコペーションにユーモアさえ漂う。

そしてこの気分が破れることのないよう、ブレンデルはただちに次の変奏に向かう。

こうして持続するある気分の中で驚くほど多彩な世界が弾き分けられるが、それは必ずしも深遠と超越といったイメージに彩られた晩年を映しだすものではない。

むしろそれは(ブレンデル自身も解説しているように)ユーモアで掘り下げられた変奏なのである。

いわばこの演奏は「諧謔の精神よりの『ディアベッリ変奏曲』の誕生」なのだ。

しかしそこには真剣なもの、純粋なものがないというのではない。

第28変奏まで主題のハ長調を保持してきたベートーヴェンは、ついに第29変奏でハ短調に移る。

ブレンデルはそこでやや間をあけ、短調の暗い弾道からあのフーガの哄笑のすさまじいエネルギーの噴出、そして優美と回想をもって終わるフィナーレまで、見事な演出と構築をもたらす。

ブレンデルは明らかにこの難解な大曲の個々を深々と掘り下げ、しかも全体をまとめる視点を獲得したのである。

イロニーとは否定的なものに拠りながらそれを超えることがあるとしたら、ディアベッリの主題による変奏はまさしくその具現だったかも知れない、そんなことを想わせるのがブレンデルの名演である。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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