2011年05月31日
朝比奈&新日本フィルのベートーヴェン:交響曲全集
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朝比奈隆は、永年にわたり関西を中心に指揮活動を行なう傍ら、40年以上も前から度々ヨーロッパに足を運んで現地のオーケストラを指揮する活動を続けており、ベートーヴェンの解釈では本場のヨーロッパでも高い評価を受けていた。
このCDからも、その成果は十分に窺い知ることができる。
朝比奈らしい素朴さがあるが、音の透明度は高く、細部もよく彫琢されている。
造形も端然としてゆるぎがなく、ライヴ録音のためか次第に感興が高揚するのもよい。
しっかりした曲の構成、重要なパッセージでのテンポの運び、強弱を含めた一つ一つの音符の処理など、どれをとっても立派でさすがである。
オーケストラの音色に注目すると、新日フィルの各パートの音色は、どれをとっても華麗である。
比較的楽器の種類が少ない初期の交響曲においては、この音色がベートーヴェンの音楽美を引き出すのにプラスの作用をしている。
広々としたテンポ、大編成のオーケストラによる恰幅の良い響き、スケールの大きい堂々とした造型、悠々として迫らぬ威厳と立派な男性美、情報量の多さはこの指揮者の独壇場といえよう。
現代の流行から超然として、分厚くも情熱的なベートーヴェン像が追究されており、スコアへのアプローチはオーソドックスだが、出てきた結果は個性的という、朝比奈独特のスタイルがここにある。
このスタイルでは他の追随を許さず、もはやこのように巨匠的風格を持った指揮者は、ほとんど存在しなくなった。
全体に、重厚で力強く、スケールが大きい、極めて充実度の高い、感動的な秀演だ。
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