2011年05月23日

フルトヴェングラー&ベルリン・フィルのブルックナー:交響曲第8番(1949年3月14日ライヴ)


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フルトヴェングラーは、なにを指揮しても決して急ぎすぎることがなかった。

悠揚迫らぬそのテンポは、まずは聴き手を落ち着かせるのに力を発揮したばかりでなく、さらに進んで揺るぎない信頼を勝ちとった、といっていいだろう。

これぞフルトヴェングラー人気の根源の一つ、という気がする。

この第8番では、そうした独特のグランド・デザインによりながらも、ブルックナーの楽想を生かし、音楽を生かすため、フルトヴェングラーはテンポを細かく動かし、表情に変化を与え、クレッシェンドを活用して強い緊張を生み出している。

そして表出されたブルックナーの深奥からわき起こる音楽的情熱と、深々とした祈り、見事だ。

内面的な燃焼度の高い、雄渾な演奏で、フルトヴェングラーの、その強烈な個性には圧倒されてしまう。

個性的でスケールの大きい表現だが、あまりにロマン的で、ブルックナーの素朴さよりもフルトヴェングラーの音楽を聴く感が強い。

それでもこの指揮者の芸術的ルーツが、ブルックナーと同じところにあることを理解できる自然体の表現であり、そこに演奏の魅力もあるのである。

この第3楽章アダージョの部分を聴くと、ブルックナーの音楽の雄大さ、フルトヴェングラーの表現力の息の長さ(ベルリン・フィルの器の大きさも加えるべきなのかもしれない)に、誰もが圧倒されてしまうことだろう。

われわれの日常生活で用いている単位では、とても手に負えないような雄大さであり、息の長さである。

こうした芸術活動だけに許されるような次元に接する機会が、最近はとみに少なくなってしまった。

精神的な高さと深さで、これを凌駕するような演奏はほかにない、といってよい。

聴いたあとに深い感動の残る秀演である。

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コメント一覧

1. Posted by 水口 峰之   2011年05月22日 17:18
フルトヴェングラーの指揮するブルックナーは一部の評論家の方の影響もあってか、とても評判が悪いのですが、僕にとってはとても傾聴させられるものです。
現代におけるブルックナー演奏にはある種の型があって、まるで寡占市場のように他の解釈が入り込む余地が無いほどのように感じます。
フルトヴェングラーの演奏はそういう「型」が出来上がる前の純粋なブルックナー受容の典型を見せてくれるように思うのです。もちろんそういう資料的で大事だと言ってるわけではありません。時代的な型に捉われることなく、純粋に「音楽の自然な表現」を追求した演奏創造の可能性を、聴衆に、そして凝り固まりそうな現代の私たちに教えてくれる、すばらしい演奏を聞かせてくれると思うのです。特にこのベルリンフィルとの演奏に聴く劇的な高揚感や人間的な感情に溢れた悲壮感はおそらく現代のブルックナーの型とは違うものなのでしょうが、フルトヴェングラーの、作品に対する共感溢れる演奏姿勢にとても純粋な感動を覚えます。
2. Posted by 和田   2011年05月22日 19:13
フルトヴェングラーのブルックナーを批判する一部の音楽評論家は宇野功芳氏のことですね。
若い頃は随分氏の著書にお世話になりましたが、今となっては私の友人も言うように「片寄っている」の一言で片づけてよいと思います。

このCDは録音の再生技術が良く、以前ならフルトヴェングラーといえば、ためらいなくバイロイト祝祭管弦楽団のベートーヴェンの第9交響曲をあげたのでしたが、その後ブルックナーに親しむようになってから、ブルックナーの威厳がもっとも似合うような気持ちがするようになりました。
しかし、これを緊張して聴くと、ヘトヘトに疲れることも確かです。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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