2007年12月27日
カラヤンのR.シュトラウス:「ツァラ」「ドン・ファン」「ティル」(最新盤)
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カラヤンは例によって、表現のスケールがとてつもなく大きく、シンフォニックな広がりのある巨匠の芸を聴かせていて、もはや何をかいわんやであろう。
カラヤン3度目の「ツァラトゥストラ」は、基本的には前2回の解釈と大きな違いはないが、まことによく彫琢された緻密な表現で、細部にわたって練りに練られている。
その巧みな設計と演出力には圧倒される。
表現はかなり濃密だが、それがスケールの大きな巧みな語り口と見事に一つになっており、雄弁であるとともに細部まで精緻な、絶妙の美しさをもった演奏を聴かせてくれる。
中でも「歓喜と情熱について」や「舞踏の歌」から「さすらいの夜の歌」にかけては絶妙。
「ドン・ファン」も、その官能的な響きと音のうねりが素晴らしい。
洗練された表現を基本にして、内的にもきわめて充実した完璧な演奏で、他を寄せ付けない圧倒的な迫力を持っている。
いかにも作品を自家薬籠中のものにした自在な表現とうねりがあり、ベルリン・フィルの磨き抜かれた響きと表現力が見事に生かされている。
「ティル」においても、あたかも名人の話芸を聴くかのような、実に語り上手な音楽の作り方で、ティルの数々のいたずらの場面をユーモアをこめて活写している。
デリケート、ユーモラス、豊かな響きなど、多彩な表現があり、あらゆる要素が見事に纏められている。
晩年のカラヤンの指揮するシュトラウスからは純粋な音楽の喜びが溢れ出ており、余裕と遊びの感じられる演奏だ。
このディスクは、晩年になっても決して音楽的に老け込まなかった、カラヤンの神髄を窺わせている。
これらをしのぐ演奏は当分現れまい。
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