2011年06月25日
C・クラウスの「サロメ」(抜粋)&「イタリアより」
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クレメンス・クラウスはR.シュトラウスと深い親交を結び、作曲者の信頼厚かった。
その3つのオペラの初演を手がけているクラウスの指揮は、いわば「作曲者直伝」といった意味がある。
2人の親交の深さを証明する録音として一連の管弦楽曲集があるが、この指揮者の本領はなんといってもオペラにある。
この《サロメ》は作曲当時のウィーンの退廃的気分を伝えているという意味で、今後も価値を失うことはあるまい。
R.シュトラウスの楽劇ともなれば、もっと新しい録音で聴きたいが、クラウスの持つ官能性と絶妙のニュアンスは、やはり他の追随を許さぬものがある。
過度に刺激的ではなく柔軟で瀟洒な音楽づくりは、メンデルスゾーンのオーケストラ作法も念頭に置いていたというR.シュトラウス自身の作曲観を反映したものと言うことができるかもしれない。
サロメ歌いの歴史に名を残すゴルツのサロメ役も貴重。
後年の歌手たちの妖艶ないしは強烈な役づくりとは異なり、品のいい清純さをとどめているところが、よくよく思えばかえって凄い。
作曲者が考えていたサロメ像にも近いのではないか。
パツァーク、デルモータら往年のウィーンの名歌手たちも節度ある表現を保つ。
《イタリアより》もクラウスという指揮者の特徴が最高に発揮された録音のひとつ。
ウィーン・フィルの音色美を百パーセント生かし抜いたこの官能、この魅惑、そしてむせるように陶酔的な歌、しかもそれらを洗練させ、どこまでもノーブルに、貴族的に、洒落た衣裳を着せてわれわれに与えてくれる至芸がここにある。
ほれぼれするような木管ソロの明滅とそのニュアンス、茶目っ気、過去を向いた悲しいまでの美しさ、ロマンティックなムード、第3楽章〈ソレントの海岸にて〉など、夢に聴くようだ。
みずみずしく、悩ましく、こんなに魅力的な音楽が他にあろうか、と思わせるほどで、R.シュトラウスを愛する人の必聴盤といえよう。
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