2011年12月28日
ゼルキン&クーベリックのベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集
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第4番はゼルキン&クーベリックによるベートーヴェン全集のベスト・ワンといえる。
音楽自体の深みと録音当時(1977年)のゼルキンの芸風がぴたりと一致。
曲のすべてを知りつくした大家の心境をつづってゆく第1楽章など、その沈んだ雰囲気や内省の心が極めて感動的である。
第3番でのゼルキンのピアノはより19世紀風であり、人間味が濃い。
それは第1楽章に最も反映しており、第2主題の大きなテンポの落とし方や、ルバート奏法は現代では珍しい。
展開部冒頭の内省的な動きも特徴だ。
「皇帝」でのゼルキンは、きらめくタッチの外面的な美しさを充分に持ちながらも、ためらいがちのルバートや感じ切ったディミヌエンドなどを随所に配し、極めて味わいに富んだ音楽としている。
第2楽章は弱音効果によって、心のこもった表現になっている。
第3楽章は主題の緩急自在な語りかけ、左手がものをいっていることなどにゼルキンの内容的な弾き方が集約されている。
第1番と第2番でのゼルキンは初期のベートーヴェンを意識して何気なく進めていくが、遅めのテンポや十分な間の感覚が見事で、いずれもフィナーレが印象的である。
合唱幻想曲も美演。タッチの冴えたピアノがベートーヴェンの魅力を最大限に発揮している。
クーベリックの指揮も音楽的充実度が抜群で、優秀な音楽性が匂うようだ。
デリケートなニュアンス、内声の充実感など素晴らしく、バイエルン放送響も大変うまい。
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