2007年12月20日
アルゲリッチのショパン:24の前奏曲集
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名演の誉れ高いアルバムである。
音をたてて燃えさかる炎のような演奏で、きわめて情熱的な表現である。
アルゲリッチは女流ばなれした豪快な演奏をしばしば聴かせるが、この《24の前奏曲》も自由奔放な表現で、まことにスケールが大きい。
アルゲリッチが30歳代半ばの録音で、当時の彼女の輝くばかりの感性の煌めきを感じさせる。
全体にすこぶる情熱的な表現で、きわめて即興的な味わいにみちているところが面白い。
しかも全体のまとめがちゃんとついているのが心憎い。
第1番のフレージングはしなやかで絶妙なアゴーギクが艶めかしい情念を醸し出し、第2番や第7番はしっとりとした詩情に満たされる。
そしてまた、第8番の苦悩の揺らめき、第12番の狂おしいばかりのパッション、第13番の恍惚とした夢想の表情や第16番のの躍動感とダイナミズム…。
多彩な色彩やテンポの自然な推移や情念のリアリティは現在の彼女のそれに通じるものがあるが、ピアノに向かう凄まじい集中力や一つ一つの音やパッセージから発散される野性味は、当時の彼女にしかないものだ。
《英雄ポロネーズ》とスケルツォ第3番の雄渾にして骨太の表現も、有無を言わさず聴き手を圧倒する力を具えている。
その豪放さたるや女流ルービンシュタインかホロヴィッツかと言いたいほどだ。
こんな演奏が出来る女流は、アルゲリッチを措いて他にはいないだろう。
そんなピアニストが、ソロ活動から遠ざかって久しい。一体どうしたのだろう?
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