2011年07月13日
マタチッチのブルックナー:交響曲第3番
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1983年、ロンドンでのライヴ録音である。
マタチッチのブルックナーには定評があるが、これもすごい、そしてまったく独特の演奏である。
これがイギリスの、それも洗練されたフィルハーモニア管かと驚くほどゴツゴツした荒々しい響きだ。
旋律も滑らかには歌われないし、合奏の精度も高くない。
そんな演奏のどこがよいかを言葉にするのが難しいのだ。
響きに異常な表現力がある。第3交響曲の第1楽章がこれほどまでにデモーニッシュに響いた例を筆者は知らない。
大きな音ばかりではなく、時々弦楽器が奏でる弱音がまた異様な力を帯びている。
第2楽章はまったく甘さがない。普通ブルックナーらしい魅力と見なされる、おおらかで牧歌的な雰囲気など微塵もないのだ。
ひたすら峻厳である。まるで同じ作曲家の交響曲第9番のようだ。
13分過ぎからはとくに息詰まるような緊張感である。
この演奏を聴くと、ブルックナーが晩年までこの作品を書き直していたことの秘密がわかったような気がする。
フィナーレは、テンポは速いにもかかわらず、信じられないような壮大さに達している。
ここでもまたオーケストラの響きの濃さに圧倒される。
ともかく一聴に値するライヴ録音である。
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