2011年06月28日
ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルのブラームス:交響曲全集
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ムラヴィンスキーの個性が刻印されたブラームス交響曲全集。
透徹した眼でもってスコアを洗い直し、厳しく律した強固な線的運びのうちにも柔軟で自在な表現を繰り出していくという、ムラヴィンスキーらしいユニークなブラームスとなっている。
とりわけ厳格な作りの中にも自由な息づかいを感じさせる第2番がすばらしい。
ムラヴィンスキーが傾倒している作品なので、音楽的にすばらしくこなれており、精緻で柔軟、自然な起伏をもった演奏を聴かせる。
そのなかには枯淡ともいえるやさしさがある。
わずかに金管の強奏の音色がロシア的といえるが、アンサンブルの洗練は他の団体とは一線を画しており、第3楽章はもはや優雅とさえ形容したい。
設計の美しさとともに指揮者と楽団の類まれな協調を物語っている。
壮大な広がりとダイナミックな力強さを持つ第3番、達観した孤高さのうちに表情の多様さを示す第4番、この巨匠ならではの独特の世界を築いたものといえよう。
第1番も個性的な演奏だが、録音年代が古いためにマイクが演奏の特質を捉えきれていないのが残念。
ロシアの指揮者もしくはオーケストラによるドイツ物は極端に評価が低い。
現代のような情報過多はある種の横並びを助長しがちだが、このムラヴィンスキーの演奏はある意味では隔離された環境においてじっくりと熟成させられたために、ほかとは全く違う魅力が生まれている。
なかでも第4番は繊細極まりなく、不思議な静寂感と悲愴な情感に溢れた演奏は、短剣のひと突きのように聴き手の心に迫る。
しかし、この演奏もいつになったら評価されるのだろうか。世の人々はそんなに伝統的な解釈に固執したいのだろうか?
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