2007年12月17日
ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルのショスタコーヴィチ:交響曲第5番(1984年ライヴ)
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1984年4月4日のレニングラード・フィルハーモニック大ホールでのライヴ録音でムラヴィンスキー晩年の円熟期のもの。
演奏はムラヴィンスキーの重量感豊かな演奏法があますところなく示された素晴らしい表現だ。
ショスタコーヴィチのこの代表作の初演者であるムラヴィンスキーは、この交響曲を幾度も録音しているが、この録音は、レニングラード・フィルのアンサンブルに最盛期と比較すると少し衰えがみられるものの、作品を隅々まで熟知したムラヴィンスキーの老練な表現が見事な演奏になっている。
少しもつくろわずに率直に処理しているが、そこには情緒もあれば民族性も描き出されている。
暗さと淋しさ、寒さを感じさせる音感、ロシアそのままに響かせたこの演奏は誰にでも真似できるものではない。
オーケストラは作品に充分な共感を示しており、手堅い演奏を聴かせている。
ムラヴィンスキーの表現はこの曲においても淡白で、誇張や虚飾がまったくなく、そうした姿勢がかえって作品のドラマトゥルギーを確実に表し、要所はもとよりどの部分をとっても一分の隙もない音楽をつくっている。
彼は、レニングラード・フィルの精妙でブレンドのよいアンサンブルをフルに生かして、きわめてしなやかですっきりした作品の再現を実現させているが、その磨き上げられた端整で完成度の高い表現は、他のどの指揮者の追随を許さないものである。
とにかく音楽的で美しい仕上げが光る熟演であり、今後も歴史的名演として愛聴されるだろう。
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