2008年02月15日
ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルのショスタコーヴィチ:交響曲第10番
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1953年3月、独裁者スターリンが死去、その年の夏、ショスタコーヴィチは「第10番」の交響曲を一気に書き上げた。
この曲はショスタコーヴィチが最も率直に、自身の哲学と感情を示した奥の深い最高傑作である。
演奏は極めて気魄に満ちると同時に、作品に対する真摯な姿勢が感じられる。
静寂さに満ちた第1楽章開始の深く沈んだ暗い響きには、戦争で犠牲になった人間の死を思わずにはいられない絶望的な悲しみが色濃く漂って胸に迫るものがある。
緩徐なテンポによる開始楽章からは、息づまるような緊張感をもたらしている精神集中が伝わってくる。
また低弦部の充実と、作品構成上重要な主題を受け持つ木管奏者の素晴らしい活躍も特筆に値する。
ムラヴィンスキーは、ソロモン・ヴォルコフ編の『ショスタコーヴィチの証言』ではクソミソにこきおろされているが、その是非はともかくとして、ショスタコーヴィチの交響曲を彼ほど美しく巧みに表現し得た指揮者は、他に例がないというべきであろう。
ムラヴィンスキーは、ショスタコーヴィチの交響曲を数多く残しているが、第10番のこの演奏は、ツボを心得たその鮮やかで巧妙な表現の見事さにおいて、その中でもとくに際立った名演になっている。
"スターリンの肖像画"ともいわれる第2楽章は、中でも大きな聴きどころであり、その切れ味のよい凶暴な表現の冴えは、聴き手を圧倒してしまうだろう。
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