2011年07月20日
ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルのブルックナー:交響曲第9番
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1980年1月29、30日 レニングラード・フィルハーモニー 大ホールにおけるライヴ録音。
この曲は途方もなく深遠で純粋であり、人の気配をまったく感じさせない神秘がある。
多くの演奏はその風景の中に何がしか余計なものを混入させたり、濁らせたりしている。
この演奏は音質が渇き気味であり、しかも金管楽器が剥き出しのバランスなど、聴感上の違和感がないとはいえない。
だが、曲の核心にどれだけ近づいているか、それをふと思った時、この演奏はがぜん浮上してくる。
伝統や慣習にまったく縛られない新古典主義的な表現である。
抑制がきいた緊張度の高い、筋肉質の響きを持っており、各パートの水平的、線的な動きが目立っている。
楽器のバランスも個性的で、金管の鋭い音色は、ロシア風の荒々しさを持つが、全体的に音楽的な密度は高く独特な説得力を持つ。
ムラヴィンスキーならではの力演である。
なお、旧ビクター盤のCDは第3楽章の155小節が唐突に始まるが(編集ミス?)、このALTUS盤ではそれがない。
ここは全曲中でも最も重要な場面のひとつなので、この修正がなされたことはたいへんに嬉しい。
ムラヴィンスキーのブルックナーは少ないだけに貴重な録音だ。
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