2011年08月01日
メータの「トゥーランドット」(旧盤)
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いろいろな点で《トゥーランドット》の常識的な再現の枠を破ったユニークな、そして興味深い演奏だ。
メータは1998年にも録音しているが、1972年盤のほうが好ましい。
まず豪華な配役それぞれが名声にかなった歌いぶりを示しているのが強み。
パヴァロッティの情熱的なカラフと、カバリエの美声を十分に生かしたリューが聴きもので、声の質からいって一見向かなそうなサザーランドがタイトル・ロールに挑戦して、氷のように冷たい心が愛に目覚めて溶けてゆく過程を、CDで聴くおそらく他のどのドラマティック・ソプラノよりも人間味豊かに演じて聴かせる。
特にサザーランドとパヴァロッティが持てる力を出し切って歌っており、第1幕、第3幕も総じて立派な演奏だが、ことにトゥーランドットが謎をカラフに提示する第2幕第2場が圧巻。
ふたりの輝かしい歌声が鋭い緊張感を生み出している。
さらに中国皇帝にピーター・ピアーズが起用されるなど、脇役陣と合唱の充実ぶりも目立った。
またメータの力強く堂々としたまとめぶりも大いに称えたい。
メータの指揮は、多彩なオペラティックな効果より、むしろ作品をマーラー演奏に共通するような豊麗でシンフォニックな表現の中にすべてを包み込むが、それでも和声の色彩感の鮮麗さ、旋律とカンタービレの強靭さ、ダイナミックな起伏の設計の巧みさなど、プッチーニの音楽の根本的な要求は十分に満たしている。
そして他盤に比して一段とスケールが大きく、彫りの深い造形から生まれるパセティックな感動は比類がない。
ACC、ADF、エディソン賞などを受けている。
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