2011年07月12日
シューリヒト&コンセール・コロンヌ管のブルックナー:交響曲第7番
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1956年5月14日 ボルドー音楽祭におけるライヴ。
長命に恵まれてステレオ時代に入ってからも活躍したとはいえ、1880年生まれのシューリヒトの芸術の基盤には19世紀風のロマン主義がある。
しかし、その演奏が野放図な主観性や恣意性に陥らないのは、その後の新即物主義の影響を受けているからだろう。
長い時期を中央楽壇ではなく地方で送ったシューリヒトは、そうした影響を独自に咀嚼し、自らの個性や基盤と調和させて、ゆっくりと自分ならではの芸風を確立してゆくことができた。
つねに古くて新しいシューリヒトの芸術の秘密がそこにあるように思う。
そう、シューリヒトのブルックナーは古くて新しい。
交響曲第7番の魅力もそこにある。
作品のテクスチャーがすっきりと見通せるような透明な響きと明晰な音楽フォルム。
微細なエピソードやソロ的パッセージなど、部分への閃きの豊富なこだわり。
そして、それらへの細心な目配り。
こうした音楽を微分する方向への指向は現代に通じるものがある。
だがその一方で、それらの部分が強い構成意識によって全体へと有機的に統合される。
部分への目配りは、すべてを統合する中心点へ向かう視線でもあるのだ。
全体構成の支柱となる動機や主題の萌芽や伏線が、実に細心読み取られる。
こうした音楽を積分する方向が確信をもってとれるのは、まだ「中心」を完全に喪失していなかった古き良き時代の芸術家ならではだ。
音楽への微分と積分の魔法のような融合がシューリヒトのブルックナーの魅力だ。
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