2011年07月18日
シューリヒト&ウィーン・フィルのブルックナー:交響曲第9番(1955年ライヴ)
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シューリヒトの至芸が発揮されたブルックナー。
今や知る人ぞ知るカール・シューリヒト(1880-1967)だが、ドイツの忘れてはならない巨匠である。
シューリヒトは、ドイツ・オーストリア音楽をレパートリーの一つの柱(もう一つは当時の近代・現代音楽)にしていたが、ブルックナーもしばしばとりあげていた。
この第9番は、いつ聴いても美しく、魅力的で、絶対に飽きのこない名演であり、オケのすばらしさも光る。
ホルンなど金管群のウィーン・フィル独特の響きの魅力とあいまって、すばらしい演奏だ。
どの一部をとっても意味深く、こくがあり、有機的で、とくにスケルツォは完璧無類だ。
ウィーン・フィルとの相性の良さは天下一品で、このブルックナーに耳を傾けているとその凄さが分かってくる。
一見何もしていないような演奏だが、作品に語らせ、オーケストラに語らせているようで、実は彫りの深いシューリヒト・ワールドを見事に打ち立て、ブルックナーが最後に到達したほとんど宗教的境地を清冽な壮麗さと純度の高い完成度で描き尽くしている。
ただ、熟しても不思議に冷静な視線が背後にある、そんな感触があり、シューリヒトの至芸はある意味で究極の職人芸といえるのかもしれない。
凛々しく、謙虚なブルックナーである。
しかもシューリヒトの演奏には常に節度があり、表現は端正である。
シューリヒトのブルックナー解釈が、雄大な音楽をありのままに再現しながら品位を失わないのはそのためで、ブルックナーの音楽に興味を持たない人にも受け入れられよう。
ただ人によってはスケールの小ささと迫力の不足を訴えるかもしれない。
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