2011年07月17日
コルトーのショパン:ピアノ・ソナタ第2番「葬送」/シューマン:子供の情景&謝肉祭
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20世紀最高のショパン解釈者はコルトーであるといっても異論はないであろう。
彼は著書にあるようにどの曲にも独自の解釈を示しているが、そこから生まれた演奏はきわめて普遍的な説得力と豊かな魅力を持っていた。
コルトーはショパンの独奏曲をほとんど録音したが、ピアノ・ソナタ第2番の演奏も素晴らしい。
ここでコルトーは、ショパンの燃えるような情熱と純粋な詩情を融合させ、昇華させているが、その場合には何といっても彼の独特のタッチが一つ一つの楽句に豊かな音色と表情を与えている。
結果として、この演奏は華麗ではあるが真摯であり、ロマン的な感情を輝かしく発散している。
またシューマンも、コルトーの特に十八番と言えるレパートリーであった。
コルトーはシューマンの内面を深く掘り下げ、その感情の動きに密着することによって解釈を生み出し、それはシューマンの情熱の燃焼とメランコリックな感情の沈潜を完全に融合させた。
ロマン派の作曲家で最も詩的な傾向の強いシューマンの音楽に、コルトーの詩的な感受性が共鳴したためといえよう。
そしてこの録音は、ミスタッチが散見され多少の聴き苦しさもあるが、コルトーの音楽を表現することの巧みさと感情表現の深さは、恐ろしくエキスの濃い音楽表現を実現させている。
コルトーの演奏は、少し大時代的な古さを感じさせることも否めないが、濃厚な情念を内在させたその甘美でロマンティックな表現は、すこぶる音楽的であると同時に詩的であり、作品の本質を確かに捉えている。
音質は古いが、歴史的名演として注目したい。
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