2011年08月06日
カーゾン&クナのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番、第5番《皇帝》
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カーゾンの面目躍如たるベートーヴェンだ。
ひとつひとつの音を明瞭に積み重ね、全体像を築き上げていく。
カーゾンの洗練された《皇帝》は、フィナーレの繊巧さにおいてほとんどモーツァルト風といっていいが、内面的な知性と集中力の凄さをそなえている。
ピアノ・パートとオーケストラ・パートの和声・旋律の呼応が自然に浮かび上がり、マッチョ・スタイルのエネルギッシュな《皇帝》では決して出会うことができない音風景が展開する。
クナッパーツブッシュの風格ある指揮が立派で、時にハラの探り合いのようになるのが楽しい。
クナッパーツブッシュの雄大ではあるが重苦しくはないオーケストラを堂々と鳴らし切ると、やおらカーゾンの輪郭明瞭でクリスタルのような音のピアノが流れ出す。
音楽美学も録音への姿勢も異にすると推察される2人の協演はしかし、不思議に調和して濃密な音楽的時間を紡ぎ出していく。
聴けば聴くほど2人(+オケ)の交わりの面白さを堪能できる。
"頭脳と腹との対話"のような両端楽章も充実しているが、白眉は緩徐楽章。
カーゾン・タッチの極致にウィーン・フィルの柔らかな管が絡み、じっと聴き入るクナッパーツブッシュの気配がいい。
クナッパーツブッシュの指揮は一見ぶっきらぼうのように聴こえるが、ソリストをサポートする温かい人間味が秘められている。
ステレオ初期の録音だけに、ハイ・レンジはいささか息苦しいが、観賞に耐える復刻である。
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