2011年07月22日
ヴァント&北ドイツ放送響のブルックナー:交響曲第3番(新盤)
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ブルックナーの音楽観の本質に宿る厳格なドイツ精神と楽天的なオーストリア精神のバランスの表現が音楽の善し悪しを決定する。
どちらが欠けてもブルックナーから離れてしまう。
この作品では重厚で渋いドイツ精神が優先する、ヴァントならではの秀演だ。
すでによく知られている通り、ヴァントはいわゆる愛想のよいタイプの指揮者ではない。
彼がつくり出す音楽は、どこか安直に近づいたりすることを拒否しているような、いかめしい性格を持ったものだ。
ヴァントの手になる音楽づくりは、いつもたいそう硬派。
甘さは徹底的に控えめで、妙に凭れかかったりするようなことがない。
そうした彼の硬派な姿勢が、ここに聴くブルックナーの交響曲第3番でも例外ではなく最大限の効果を発揮している。
通念的にはより親しみやすいはずの、「感動をもって」と記された第2楽章もズルズルと情緒的な要素をひきずることはしないし、ここでは周囲をはらうかのような感じを漂わせている。
第3楽章の中間部のレントラーふうの舞曲も、緊密な造型性をゆるませるようなことはない。
にもかかわらず、ここに聴く音楽はたいそう魅力的だ。
その明確な輪郭を持った表現、スケールの大きさ、一途な姿勢には圧倒されてしまう。
厳しいけれど、高い志に貫かれた深い人徳を備え、いつまでも忘れ難い恩師にたとえることもできる立派な演奏内容である。
音質は、従来CD盤からして比較的良好な音質であったが、今般、ついに待望のSACD化が行われることによって、更に見違えるような鮮明な音質に生まれ変わったところだ。
音質の鮮明さ、音場の幅広さ、そして音圧のいずれをとっても一級品の仕上がりであり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第である。
いずれにしても、ヴァントによる至高の名演を、SACDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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