2011年10月25日
ヨッフム&コンセルトヘボウのブルックナー:交響曲第7番(1986年来日公演盤)
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ヨッフム最後の来日にして、亡くなる半年前の伝説的名演盤。
ヨッフムは終生、華やかな名声には縁のない地味な存在だったけれども、ことブルックナー指揮者としては、現代の第一人者として別格視する人が少なくなかったのではないだろうか。
私たちの視野に入るものだけでも、2度、実際には前後3回にわたるというブルックナー全曲録音の雄大な成果があるが、筆者はヨッフムの代表的なブルックナー録音として、最後の来日公演盤の「第7」をピックアップしてみた。
ひとりの演奏家が何度も同じ曲を録音する。
解釈の変化・進化とともに、演奏という行為が、2度と同じものを作ることができない宿命を負っているゆえに、再録音を演奏家にさせるのだ。
ブルックナーの交響曲を世の中に知らせ、親しまれるように尽力した最大の功労者である名匠ヨッフム(彼はまるでブルックナーの市民権を獲得するための"十字軍"のようだ)が1986年にコンセルトヘボウとライヴ録音したこの1組は、そんなヨッフムの残した数多くのブルックナー作品の録音の中でも、特に素晴らしい1組と言える。
第1楽章は、まるでザンクト・フローリアンのなだらかな田園風景を見るような優しく懐かしい演奏である。
第2楽章も優しい歌の洪水であり、深い情感を湛えつつ、悲しみと慰めの魂の深淵を描き出した美しさは忘れ難い。
とくに第2主題の感動的なまでの美しさに、この指揮者の孤高の人生が凝縮している。
しかし、特筆すべきは、コーダの静謐と極度に高い集中力。これを指して、筆者は巨匠の演奏と呼びたいのである。
ヨッフムは生涯の最後に、コンセルトヘボウとコンビが組めたのも、ヨッフムにとって何と幸せなことであったろう。
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