2011年07月27日
ヨッフム&バンベルク響のブルックナー:交響曲第8番(1982年来日公演ライヴ)
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1982年9月15日、NHKホールにおけるライヴ録音。
ヨッフムのブルックナーの交響曲に対する愛着は、既に1960年代にベルリン・フィルとバイエルン放送交響楽団とを指揮して完成した全集と、1970年代後半にドレスデン国立管弦楽団を指揮した全集に表れている。
この来日公演盤では、それがいっそう深いところで集約され、結実しているといってもよいであろう。
オケの響かせ方がブルックナーの法悦そのものであり、心のこもり切った表情、奥行き、厚みも見事。随所で音楽の箴言を伝えている。
作曲家独自の生成と高潮とが交替する作品の構成を、いっそう純化し、明確化して、曲に見通しのよさを与えている。
オーケストラの響きは、彼らの最上のものとなって潤いと落ち着きを持った表現をみせ、そのバランスの整えられたアンサンブルは、オルガニスト、ブルックナーとの結びつきを示唆している。
だがここで何よりも見逃せないのは、既に80歳を迎えていたヨッフムの音楽家としての円熟であり、しかもなお一向に衰えをみせぬ情熱と、美への献身であろう。
ヨッフムは要所を着実に押さえ、音楽を少しも飾ろうとせず、柔軟に流動させる。
いつかいかなるときにおいても、ヒステリックになることなく、素朴な、しかも晩年に入った野人ブルックナーの心境をはっきりと描き出す。
冒頭の主題形成からして実に鮮やかで、重力から開放されたような趣がある。
なかでも抒情と清浄さをみなぎらせた第3楽章は、充実した出来映えだ。
ヨッフムの作品に対する確信と愛着の念が素直な容姿の音楽を生み出している。
鮮明度の点では遜色を否めないが、音楽的な質は至極高い。
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