2011年08月03日

ワルター&ニューヨーク・フィルのブルックナー:交響曲第7番(初出)


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1954年12月、カーネギー・ホールにおけるライヴ録音。

ワルターはこんにちのようにブルックナーの音楽が広く聴かれるようになる前から、いち早くとりあげた指揮者だけあって、その音楽の神髄に肉薄した演奏だ。

彼のブルックナーは最も純粋な音楽美を示したもので、透明、清澄のかぎりをつくし、ニュアンスやデリカシーの点でも比類がない。

冴えたみずみずしさと愛情にあふれた美しさが上品で詩的な感受性を湛え、ブルックナー独特の熱っぽさや壮麗さを充分生かしつつも、少しも重苦しくなったり劇的になったりしていない。

ブルックナーの世界に陶酔しながらも、精緻に、優雅に、愛情をこめて荘厳な雰囲気を描出している。

ワルターは音楽の宗教的な深さよりも人間的な温かさに焦点をあてて演奏しているのが特徴で、情感豊かな旋律を、実に美しく歌いあげている。

第1楽章の広がりと豊かさは、コロンビア響との録音では乏しかったもので、大編成のニューヨーク・フィルらしい充実感があり、艶やかな歌にいたってはワルターの独壇場だ。

第2楽章アダージョでは、滔々と流れる情緒的な旋律をゆったりと品よく歌わせているし、聴いているといつしか神の深い慈愛に包まれているような安らぎを覚えるほどで、このあたりにもワルターのブルックナー観がよくうかがえる。

楽譜は例によってハース版を使用しており、アダージョのクライマックスにおけるシンバルやティンパニも加えていない。

華やかになりがちなクライマックスも、しっかりと手綱を引き締めていて、巨匠の芸の深さを感じさせる。

筆者としてはこの素朴さを支持したいと思う。

すなわち、音楽の本質に関係のない外面的な効果で聴く人を驚かせるようなことはしていない。

むしろ効果など少しも狙わずに演奏を進める点ではヴァントに匹敵する。終始、有機的な心の調べが聴こえてくるのである。

数あるブルックナーの録音のうちでも、これほど穏やかな優しさにあふれた演奏も珍しい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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