2015年03月19日

ジュリーニ&ベルリン・フィルのブルックナー:交響曲第8番


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1984年2月、ベルリン・フィルハーモニーにおけるライヴ録音。

ジュリーニの高潔な音楽性が結晶した趣がある名演奏。

最円熟期のジュリーニの高貴にしてゆたかな芸格を最もよく伝える名演である。

ジュリーニは、特に1980年代のロサンジェルス・フィルの監督を辞めた後からは、非常にテンポの遅い、しかも、粘っこい、いわば粘着質の演奏をすることが多くなったような気がする。

したがって、楽曲の性格によって、こうしたジュリーニのアプローチに符合する曲とそうでない曲が明確に分かれることになった。

ブルックナーの交響曲も、同時期にウィーン・フィルと組んで、「第7」、「第8」及び「第9」をスタジオ録音したが、成功したのは「第9」。

それに対して、「第7」と「第8」は立派な演奏ではあるものの、ジュリーニの遅めのテンポと粘着質の演奏によって、音楽があまり流れない、もたれるような印象を与えることになったのは否めない事実である。

本盤は、1984年の録音であるが、確かに第1楽章など、ウィーン・フィル盤で受けたのと同じようにいささかもたれる印象を受けた。

しかし、第2楽章から少しずつそうした印象が薄れ、そして、素晴らしいのは第3楽章と第4楽章。

ジュリーニの遅めのテンポが決していやではなく、むしろ、深沈とした抒情と重厚な圧倒的な迫力のバランスが見事であり、大変感銘を受けた。

総体として、名演と評価してもいいのではないかと思う。

その要因を突き詰めると、やはり、ベルリン・フィルの超絶的な名演奏ということになるのではなかろうか。

この時期のベルリン・フィルは、カラヤンとの関係が決裂状態にあったが、ベルリン・フィルとしても、カラヤン得意のレパートリーである「第8」で、カラヤンがいなくてもこれだけの演奏が出来るのを天下に示すのだという気迫が、このような鬼気迫るような超絶的名演奏を成し遂げたと言えるのではないか。

そのベルリン・フィルの奥深く澄んだ響きと柔軟で底知れぬ表出力がジュリーニの克明な表現とひとつになって、まことにスケールゆたかな、晴朗な力に漲った演奏を築いている。

最円熟期に差し掛かったこの指揮者が、カラヤン時代の響きと演奏スタイルをとどめていたベルリン・フィルの特質を生かした成果とも言える。

彼らが共通して持っているブルックナー像を基本としながら、それを気高い表現に昇華させたのはジュリーニの手腕に他ならない。

芝居じみた要素は微塵もなく、聴衆の耳に媚びることがないため、とっつきやすい演奏とは言えないが、いったんその世界に入ることが出来ると、その精神世界の虜となるだろう。

北ドイツ的な重厚な響きに陥ることなく、あくまでオーストリアの作曲家ブルックナー本来の音色が守られ、その光が交錯するような色合いもこのうえなく美しい。

しかも、透徹した音楽性と強くしなやかな持続力に貫かれた演奏は、細部まで実に精緻に磨かれており、ベルリン・フィルがそうした表現に絶妙の感覚でこのオーケストラならではの色彩とニュアンスを織りなしている。

この巨大な作品の全体と細部を、明確な光の中に少しの夾雑物も交えることなく、くっきりと表現しつくした、ジュリーニならではの感動的なブルックナーである。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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