2011年08月13日
アーノンクール&コンセルトヘボウのブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」
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ブルックナーがロマン派と隔絶した音楽であることを、最初に示してくれた記念碑的演奏である。
トロンボーンなどに旧式の楽器を使用し、現代的な意味での重厚感とは無縁なので、肉体的な物足りなさを覚える人がいても不思議ではない。
しかし、ブルックナーの音楽が、パレストリーナ以来のポリフォニー音楽からの伝統を受け継いでいることを知るのも、もうひとつの魂の愉悦である。
バロック音楽に精進していたアーノンクールがブルックナーに心惹かれるのは自然なことだ。
響きは湧き出る泉のように清廉であり、同時進行するエピソードのすべてが多層的に鳴り響く。
これぞ、ポリフォニーの神髄。
そこに木霊するのは、天上の木々のさざめき、花々のそよぎ、宇宙の鼓動そのものだ。
どうか、アーノンクールの瑞々しさを味わって頂きたい。
アーノンクールはブル4に、コンセルトヘボウ管を選んだのは正解だった。
ここでのアーノンクールはオーケストラに厳格なまでにスコアに従うように要求する。
デュナーミク、アーティキュレーション、クレッシェンド、ディミヌエンド…。そのこだわりは神経症的といえなくもない。
しかしそれは同時に、驚くほど豊かな情感に満ちた演奏でもある。
細部にこだわればこだわるほど、より一層緻密で多彩な情感が得られるものなのかもしれない。
金管の鳴らし方が独自だが、アゴーギクなどは伝統的な解釈を見せている。
重くならないフレージング、弱音で弦のヴォリュームを絞ることによって得られる音響バランスによって、テクスチュアを明晰にしていることもすばらしい。
長いフレーズ感と壮麗かつ重厚な響きをもった、そして次第に形成されていった"伝統的"な解釈からの開放を試みた、アーノンクールならではのブルックナーだ。
この新しいブルックナー像を心より歓迎したい。
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