2011年11月26日

「トスカニーニ追悼演奏会」 ワルターのベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」


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1957年1月16日に亡くなったトスカニーニの"追悼演奏会"における実況録音である。

ワルターのライヴの最高傑作のひとつであり、これを聴かずしてワルターを語ることは決してできないと思う。

1957年2月といえば、ワルターが現役引退した直後、心臓発作を起こす直前であるが、これこそ心技一体、充実し切った名指揮ぶりといえよう。

このコンサートが終わった後の新聞評に、ワルターはトスカニーニそっくりのスタイルで演奏した、と書かれたそうだが、ワルターの性格として、追悼演奏会ならばトスカニーニを意識したことは充分考えられるし、シンフォニー・オブ・ジ・エアーの特質をフルに発揮しようと思ったことも事実であろう。

しかし大切なのは、ワルターがトスカニーニのスタイルで演奏したことではなく、そのスタイルを完全に自分のものとして咀嚼し、少しの残滓も認められないほど消化しつくした点にある。

すなわち、ここでワルターは最も激しい、最も雄渾な迫力を見せるが、そこにいささかの無理や力みもなく、彼ならではの豊かな歌や、厚みや、ニュアンスをいっぱいにこめながらしかもトスカニーニ以上の凄まじいダイナミズムを実現しているのである。

ともかく、この「エロイカ」は何回聴いても新鮮さを失わず、およそ飽きるということがない。

ワルターとトスカニーニをミックスした感じで、仮借のない進行を見せながらも、リズムがもたれ気味になって、人間味を与えるようなところもワルターらしい。

芝居気はまったくなく、指揮者よりは「エロイカ」そのものを聴く感じである。

初めてこの曲に接したときの感激がよみがえってくる。

本当の名演とはそうしたものなのだろう。

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classicalmusic at 18:50コメント(2)ベートーヴェン | ワルター 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2021年07月22日 09:30
4 この演奏は昔聴いた覚えが有ります。ワルター迫真の力演ですが,貧しいモノラル録音はその良さを十分伝えていませんね(せめて偶発ステレオにでもリマスター出来ればと切望します)。確かに第1楽章のコーダ等はトスカニ−ニ的迫力に満ちています。それでもワルターらしさは十分備わっており,フルート等金管の美しさは筆舌に尽くし難い程です。しかし普段聴くには通常のステレオ盤の方がベターだと思った次第です。
余談ですが,デュリュフレのレクイエム,コルボの演奏で聴きました。確かにフォーレのそれに酷似していますが,曲全体にメリハリをつけてソロと合唱を一曲に挿入する等異なった点も聴かれます。それが却って印象を薄める結果となってしまった気もします。ベルガンサの歌唱力は群を抜いており,私の嫌いなフォンダムも健闘しています。この曲にはバリトリ,ターフェルのチョンミョンフン盤とフォンオッター,ハンプソンのプラッソン盤も評判が高い様ですが,一押しはやはりコルボ盤でしょうか。
いよいよほぼ無観客で東京オリンピックが始まります。和田さんはやはり男子サッカーですか。対戦相手の南アは感染者続出なので,試合不成立かも知れませんね。私はNHKワールドプレミアムのニュースを見ていますが,著作権の関係で全て静止画。何とかしろと叫びたくなります。
2. Posted by 和田   2021年07月22日 09:48
デュリュフレの《レクイエム》は第2次大戦終結後間もなくの1947年に作曲されていますが、フォーレの場合と同様に父の死が作曲の動機となったもので、レコード録音は1959年に行なわれた作曲者自身の指揮によるものが、おそらく最初のものです。その後かなりあとになってからいくつかの録音が出るようになりましたが、未だにこれ以上質の高い演奏はないように思われます。やはり作曲者自身が指揮し、名オルガニストであった夫人のマリー=マドレーヌも参加した演奏は一味違います。作曲者自身による作品の解釈という点ばかりではなく、それに見事に応えている演奏者たち、とくにフィリップ・カイヤール合唱団のすばらしさは特筆に価します。作品もグレゴリオ聖歌を中心とする声楽部と近代フランスのモダンな響きによる管弦楽部が美しく融和しています。フォーレの《レクイエム》のクライマックスが〈ピエ・イエズス〉なら、この曲に関しては静謐な合唱で歌われる〈永遠の光〉でしょうか。私はフォーレにも匹敵するフランスのレクイエムの最高傑作だと思います。ワルターのステレオ録音はいたずらに劇的な誇張をさけたダイナミックな進行で、この曲が内に秘めた大らかな世界を十二分に歌い出しています。やや遅いテンポで悠々と大きく歌ってゆくところ、あたかもとうとうとした大河の流れを思わせるかのような、悠然とした演奏で、その流麗で気品の高い表現には惹きつけられます。旋律はふくらみをもって深呼吸で歌われ、あくまでもおおらかでスケールが大きく、ピアニッシモはまるでささやくように、そしてクレッシェンドの幅は大きなうねりのように盛り上がりますが、それでいて全体の表情は穏和で情緒的です。第2楽章の葬送行進曲は深い感動を表現しており、テンポと後半の対位法的進行のところの見事な処理、第4楽章の大きく波打つような情感の盛り上がり、こうありたいと思う表現です。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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