2014年03月31日
カラス&ヴォットーのベルリーニ:夢遊病の女
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
カラスの同曲唯一のスタジオ録音。
ステレオ以降期の録音のため、モノーラルながら音質は良い。
このスイスの山村を舞台に展開される田園的抒情劇ともいっていいこのオペラは、同じベルリーニの《ノルマ》や《清教徒》とはかなり性格も異なり、違った表現が必要となる。
ロマンティックな牧歌劇がひときわ美しい作品であり、ベルリーニならではの新鮮な音楽の魅力をほぼ満喫させてくれるのは、やはりアミーナ役のカラスが圧倒的に素晴らしいヴォットー盤である。
カラスとヴォットーは、ここでほぼ理想的な再現を行っている。
この曲のもつ室内楽的でロマンティックな情感が余す所なく示されているし、カラスの表現の幅広さを味わう意味でもこれは興味深い。
この時代のオペラを得意にする歌手も増えた現在、そろそろヴォットー盤を凌ぐ演奏が出てきてもと思うのだが、なかなかそうはいかない。
このアミーナでも、カラスがノルマや《清教徒》のエルヴィーラのようなドラマティックな役柄とはまた別の一面を見事に表現しているからにほかならない。
ここでもカラスのベル・カント・オペラにおける声の威力と表現力が申し分なく発揮されているし、共演者たちとヴォットー指揮のスカラ座のアンサンブルも作品のスタイルを見事に表現しているのだが、エルヴィーノ役のモンティの古風なスタイルがやや違和感を感じさせる。
高音と技術、表現力など、さすがにカラスならではの素晴らしさで、相手役のモンティはやや弱いけれどヴォットーの指揮とキャストも立派で充実していて、それを充分に補っている。
デビュー当時のコッソット(当時22歳)の名も見える。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。