2011年08月15日
マタチッチ&N響のブルックナー:交響曲第5番
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1967年11月21日 東京文化会館でのライヴ録音。
ヴァント盤、チェリビダッケ盤などの登場で、一般の関心はそちらに移ってしまった感はあるが、このたび、並べて聴いて、強い感銘を受けたのはむしろマタチッチ盤の方だ。
マタチッチの豪快さが全面に出た胸のすくような演奏である。
第1楽章から音楽の呼吸の深さが尋常でなく、オーケストラの技量の問題などどうでもよくなってしまう。
コーダでテンポを加速させるなど、普通ならブルックナーを傷つける行為も、この人にだけは許されてしまうから不思議だ。
これだけオーケストラをガンガンと鳴らしまくって、些かも外面的にならず、宇宙的な鼓動を思わせるのであるから、マタチッチという人は、ただ者ではない。
悲しみも悩みも吹き飛ばす響きの豪快さと大きな胸に抱かれているような安心感とでも言おうか。
第2楽章では、懐かしい「揺りかご」に揺られながら、遠い記憶への旅に誘われるような気持ちがする。
黄泉の国を漂流するような幽玄があり、儚く、この世の音楽とは思えない。
フィナーレのコーダの壮大さは、とても人間業ではなく、最盛期のクナッパーツブッシュを凌駕しているに違いない。
冴えないと思われていた録音も、実際には素晴らしいもので、どこか蔭のある鄙びた音で聴くと、豪快なだけに終わらないマタチッチの情感の深さが思われて感動的である。
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