2011年08月18日
ベーム&ベルリン・フィルのベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」(1961年スタジオ録音)
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
ここに聴くベルリン・フィルとの「エロイカ」は、壮年期ベームの面目躍如たる名演である。
激しい共感を凄いほどの緊迫感で示した表現で、非常に意欲的で力強い推進力があり、造形も端然としている。
じーんと腹の底に響いてくる深い音をもったスケールの大きな「エロイカ」である。
少しもいきり立ったり、細工したり、誇張したりしていない。
素朴なほどに謙虚な表現である。
それでいて、どの部分もおだやかに整っていて無駄がない。
フルトヴェングラーの深遠、シューリヒトの知恵、モントゥーの慈愛……といった特別なものは何もない。
もし天衣無縫という形容が許されるのなら、このベームの演奏はそこに達したものといってよいだろう。
ベームはスコアをスコアのままに正確無比に再現しようとする職人中の職人のように思えるし、冷徹な即物主義者のようにも思える。
ただただ、スコアに書かれた音を、ベームの考える「正しいテンポ、リズム、フレージング、バランス」でもって、ストイックに再現していくだけなのだが、常任指揮者のカラヤンの下で陰を潜めていたベルリン・フィル本来のドイツ的な剛毅さが生々しく現れていて、これはこれで堪えられない。
1959年録音のブラームス「第1」(ベルリン・フィル)とともに、壮年期のベームを代表する名盤と言えるだろう。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。