2011年09月03日
カラヤン&ベルリン・フィルのブルックナー:交響曲第9番(旧盤)
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カラヤンの当曲の最初の録音(1966年)であった。この後1975年に同じくベルリン・フィルと再録音しているが、デジタル録音は残さなかった。
カラヤンらしく美しい響きで統一した演奏。
カラヤンのブルックナーはベルリン・フィルと組んだ場合、きわめて精緻な響きと密度の濃いアンサンブルで極限まで磨き抜かれた演奏を展開する。
第9番もその広大な宇宙を一点一点緻密で曇りなく描き抜いた演奏で、好悪は分かれるだろうが、演奏の質・内容自体はきわめて高度な次元に達している。
第1楽章の第2主題や終楽章では弦の表情に独特の粘りがあり、ブルックナーの中にあるワーグナー風の要素が浮き彫りにされているかのようだ。
しかしカラヤンなりに豊かな感興が示されており、誠実に演奏しているので充実感が強い。
カラヤンの録音の中でも十指に入るのがブルックナーの第9番ではないだろうか。
ここには素朴な味わいなどかけらもないし、一切の信仰とも無縁で、そもそも"意味"から最も遠いところにある。
ひたすら音そのもの、音楽の響きそのものの美と効果とを追求している。
光は隅々にまで当てられ、夾雑物はまったく見えない。
これに《テ・デウム》をつけ加えるのは勘弁してほしい。純粋そのものなのだから。
人はここで深い思いを抱いたり、感動したりする必要はないし、できない。
ひたすら美しい響きに浸り、完全に抽象化された音楽の世界を遊んで終わる。
考えようによっては、これはブルックナー演奏の極北にあるのではないだろうか。
カラヤンのブルックナーでは、最晩年のウィーン・フィルとの第7、8番に次ぐ優れた演奏といえよう。
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