2011年09月02日
ハイティンク&シカゴ響のブルックナー:交響曲第7番
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2007年5月、シカゴ、シンフォニーセンター、オーケストラ・ホールでのライヴ録音。
実に陰影の深い、立体的で雄渾、そして楽想の表情も全体に生き生きとして鮮明な、まさに目を見張るような素晴らしい演奏だ。
造形の完成度においても同曲レコードでも1、2を争うものだろう。
全体に恰幅のよい表現で、造形的にもブルックナーの様式を完全に体得したうえでの構築が素晴らしく、4つの楽章の音楽的な起伏と平衡感覚は見事としかいいようがない。
何よりも音に精神的な気迫が漲り、どの部分をとっても楽想が的確な表情であるべきところに収まっており、ブルックナー特有の対位法的な書法や旋律線の表現もかなり無理なく決まっている。
ここでは音楽の深いところに目を据えたハイティンクの、一種の気持ちの余裕と懐の深さが大きく功を奏しており、その結果として細部の仕上がりが格段に隙のない美しいものとなっている。
ハイティンクの堂々とした風格を再認識させられるとともに、シカゴ響が指揮者を信頼し、全員が一体となって演奏していることにも感嘆させられる。
冒頭から豊かな感情が泉のように湧出しており、その音楽の自然な美しさと充実感はたとえようがない。
特に第2楽章のアダージョは圧巻。
快調なテンポできりりと引き締めたスケルツォのあとに、フィナーレがひときわ雄大なスケールで広がっているあたりも素晴らしい。
オケの重厚・豊麗な響きもブルックナー音楽のおおらかな流れと朗々としたトゥッティの美を作り出している。
指揮者の円熟と作品の素晴らしさを実感させる、特に注目すべき秀演である。
この1枚はブルックナーの神髄に迫る名演といえよう。
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