2011年08月25日
ヴァント&ミュンヘン・フィルのブルックナー:交響曲第5番
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ヴァントは交響曲第5番を第9番とともにブルックナーの最高傑作と評しており、長い音楽家生活の節目をそのつど第5番の名演で飾ってきたことでも知られている。
この1995年のミュンヘン・フィルとの第5番がそうした一連のヴァントの5番の中でも優れたものとして存在を主張しうるものであることは疑う余地の無いところであろう。
引き締まったサウンドを好んだヴァントが、チェリビダッケによって厳しく訓練され、高い適応力を備えていたオーケストラとの共同作業から手に入れたのは、美しくしかもパワフルなサウンドだった。
録音で聴くと少々弛緩した印象もあったチェリビダッケ盤に較べ、ここでのヴァントの勇壮なオーケストラ・ドライヴには、聴き手を興奮させずにはおかない劇的な展開の巧みさと迫力が確かに備わっており、ミュンヘン・フィルの明るく流麗で色彩的、かつ俊敏なサウンドがそうした解釈と面白いマッチングをみせて素晴らしい聴きものとなっている。
ちなみにチェリビダッケとの第5番の演奏は90分近くかかることもあったほどで、1993年に録音されたEMIのCDでも87分40秒を要している。
ヴァントはこのとき74分35秒で演奏しているので、その差、実に13分。同じくハース校訂による1878年稿を用いていながらこの差は驚異的。
チェリビダッケのもと、極度に遅いテンポで演奏していたミュンヘン・フィルの面々が、ヴァントの快速テンポを楽しんでいる様子がよくわかるような演奏である。
随所で決まるティンパニも見事で(おそらくペーター・ザードロ)、第1楽章展開部など効果的だった。
この公演から約1ヶ月の後にはベルリン・フィルに客演して第5番を指揮するヴァントであるが、リハーサル回数の問題もあったのだろうか、ヴィルトゥオジティはともかく、指揮者の解釈がより深く楽員に浸透したのは、どうやらミュンヘン・フィルの方だったようだ。
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