2011年09月05日

チェリビダッケ&ミュンヘン・フィルのチャイコフスキー:交響曲第5番


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チャイコフスキーの交響曲第5番はトータル55分を超えるという、晩年のチェリビダッケならではの遅いテンポが選ばれている。

冒頭で示される循環主題のブロック(序奏部)だけで3分かかるのだから、これはもう尋常な時間感覚では捉えられないものだが、その後、幾度も変容し再現されることと、主部のテンポ設定を考えれば、十分に理解できるものでもある。

第1楽章主部はアレグロ・コン・アニマの指定で始められるが、ここではどう聴いてもアンダンテ以下の設定であり、チェリビダッケ一流のデフォルメとしか言いようがないが、3つの主題の描き分けの巧みさはさすが。

第1主題の確保部分で、トランペットを強調するあたりなど実に刺激的で、優美な第2主題とのコントラストも極めて明瞭。

前半動機リズムの繊細なデフォルメと、後半動機の憧れに満ちた情感表出が絶妙なバランスをみせる第3主題(結尾主題)も実に見事である。

続く第2楽章の美しさも予想にたがわぬ素晴らしいもので、無用な感傷に流されない表現は立派。

14分付近の危険個所(クサクなりやすい)でも、絶妙な管弦のバランスとザードロのティンパニによる引き締めによって、安手の陶酔に堕さない高揚をみせ、次の循環主題部と終結部の強烈なコントラスト形成を際立たせることに成功している。

第3楽章もハイ・グレード。大交響曲にふさわしい表情豊かで立体的なワルツであり、主部を支配するメランコリーの美しく淡い色彩と、抑制された動感が、音楽にえもいわれぬ気品を付与することに成功し、同様に美しい中間部と共に抜群の聴きごたえが嬉しいところ。

第4楽章は、冒頭循環主題のマエストーソの指示を無視した純粋な美しさがまず深い印象を与える。

3分半ほどの序奏部全体に漂うロシア聖教のコラールのような雰囲気は、遅いテンポでグロテスクに描かれる主部第1主題の関連部分と、循環主題の変形でもある主部第2主題の関連部分との対比効果にも強く影響し、荒ぶる大波が実は周期を持った運動体であることにも似て、巨大で揺るぎのない構造物を打ち立てることに成功しているのである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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