2011年09月07日
スクロヴァチェフスキ&ザールブリュッケン放送響のブルックナー:交響曲全集
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本盤に収められたブルックナーの交響曲全集(00番、0番を含む)は、ヴァントや朝比奈が崇高な超名演の数々を成し遂げていた1991年〜2001年にかけて、スクロヴァチェフスキがザールブリュッケン放送交響楽団とスタジオ録音を行ったものである。
本演奏でのスクロヴァチェフスキは、各楽器間のバランスを重視するとともに、スケール自体も必ずしも大きいとは言い難いと言える。
むしろ細かな工夫で知られるスクロヴァチェフスキならではの刺激に満ちたアプローチが随所で楽しめる内容である。
もっとも、各楽器間のバランスを重視しても、録音の良さも多分にあるとは思われるが、重厚さを失っていないのはさすがと言えるだろう。
また、細部への拘りも尋常ならざるものがあり、その意味では楽曲の細部に至るまで彫琢の限りを尽くした表現と言えるのかもしれないが、いささかも違和感を感じさせないのはさすがと言えるだろう。
緩徐楽章などにおける旋律の歌い方には、ある種のロマンティシズムも感じさせるが、それが決して嫌にないのは、スクロヴァチェフスキがブルックナーの本質をしっかりと鷲掴みにしているからに他ならない。
各交響曲の演奏ともに出来不出来はさほど大きいとは言えないが、それでも、第00番、第0番、第1番、第2番及び第6番といった、比較的規模の小さい交響曲においては、スクロヴァチェフスキによる細部への拘りや各楽器間のバランスを重視するアプローチがむしろ功を奏しており、他の指揮者による名演と比較しても十分に比肩し得る素晴らしい名演に仕上がっていると言える。
他方、第5番や第8番については、一般的には名演の名に値すると思われるが、そのスケールの若干の小ささがいささか気になると言えなくもない。
いずれにしても、本全集は、さすがに近年の演奏のような崇高な深みがあるとは言い難いが、現代を代表するブルックナー指揮者である巨匠スクロヴァチェフスキの名をいささかも辱めることのない、素晴らしい名全集と高く評価したい。
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