2011年09月16日
朝比奈隆&シカゴ交響楽団/ブルックナー:交響曲第5番(DVD)
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朝比奈隆没後5周年特別企画で、筆者を含めファンが待ち望んだシカゴ交響楽団との共演盤である。
1996年5月16日、シカゴ交響楽団の定期演奏会に朝比奈隆が客演した際の貴重な記録で、朝比奈のブルックナーを語るには外せない1枚。
1996年、今は亡き朝比奈隆が単身渡米、シカゴ交響楽団とブルックナーの交響曲第5番を演奏した。
筆者はそれをNHKで観ることが出来たのだが、これはすごい演奏だった。
一期一会に賭ける両者の想いががっぷり四つに組み、巨大で濃密、劇的極まりない演奏空間を創り上げていたのだ。
シカゴ響の猛者たちを前に全く見劣りせず屹立する朝比奈は、いつにも増して古武士然としてグイグイとオケを引っ張る。
負けじと咆哮するその金管群の凄さは、TV画面からも十二分に伝わってきた。
これは絶対に観て損のない、5番の素晴らしい演奏記録だ。
この客演はシカゴ響の当時の支配人であるヘンリー・フォーゲルが、朝比奈が指揮するアルプス交響曲を聴いて感激したことにより実現したというもので、世界最高の金管セクションを相手に、自慢のブルックナー・フォルムをリハーサルで徹底的に仕込んだその演奏は、聴衆、批評家の両方から大きな賛辞をもって迎えられたとのこと。
朝比奈の大河を思わせる音楽の流れとこれぞブルックナーと想わせる解釈は圧倒的。
そしてシカゴ響の音色の美しいこと!
ショルティの指揮する同オケは無機的であまり感心しないが、朝比奈の音楽性がこれほどまでに有機的なオケに変えてしまう。
表現のない棒振りは必要なしと感じた次第。
ところどころでアンサンブルの乱れも見られ、必ずしも完成度が高いとは言えないが、この日の演奏が名演であったことは、聴衆のスタンディングオベーションが証明している。
リハーサルでは終楽章コーダの金管を倍管にするよう要求する朝比奈に対し、シカゴ響は、「そんなことは必要ない、自分たちが大きな音で吹けばよいだけだ」と言ってのけ、実際に、完璧なクレッシェンドとアンサンブルで大伽藍というべき巨大な迫力のコーダを響かせたというのだからまさに驚くほか無い肺活量とテクニックだ。
特典映像は、シカゴへの出発から朝比奈に密着し、演奏会の舞台裏を追ったドキュメンタリーとなっている。
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