2010年08月30日
ヨッフム&コンセルトヘボウのブルックナー:交響曲第5番(1964年ライヴ)
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ドイツの名指揮者オイゲン・ヨッフムは、1961年にオランダ人以外では初めてコンセルトヘボウ管弦楽団の常任指揮者に就任したが、このアルバムはそのポストにあった時期に録音されたもの。
ヨッフムはブルックナーの演奏にかけては他の追随を許さない存在であり、特にこの第5番は彼が好んで頻繁に指揮した作品だった。
ヨッフムの第5番は数種類があり、どれも名演の誉れが高いが、これは1964年3月30日、31日に、南ドイツ、オットーボイレンの聖ベネディクトゥス修道院で行われた演奏会のライヴ・レコーディング。
大聖堂の豊かな残響を伴った荘厳無比な名演として以前から有名なこの演奏は、ヨッフムが実演でその真価を発揮するタイプの指揮者であったことをよく教えてくれる。
この曲のスペシャリストでもあるヨッフムには、ほかに5種類(1938/1958/1969/1980/1986)の録音が存在するが、大聖堂での演奏はこれだけ。
コンセルトヘボウの滋味がありながら透明度の高い弦楽器の音色が、録音会場の教会のなかに残響豊かに満ちていく。
ヨッフムは、全体はがっしりとした構えながら、コラール風の安寧に満ちたメロディが随所に繰り返され、それが徐々に力を漲らせながら頂点に向かっていくこの曲を手練れた演奏で聴かせる。
これこそブルックナーの魅力の表出といわんばかりの自信に満ちたアプローチである。
この曲にことさら求められるオルガン的響きが見事に捉えられ、宗教的敬虔さとあいまって、稀にみる名演となっている。
ブルックナーに対する演奏者の愛情と作品に対する造詣の深さを裏付けしており、じっくりとブルックナーの世界に浸らせてくれる名演である。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2020年04月28日 09:49

2. Posted by 和田 2020年04月28日 13:01
仰せの通りです。私としては最晩年の演奏の神々しさが他に類を見ない境地にあるので、多少の瑕疵も気にならないほどです。同様に同時期にコンセルトヘボウとの来日公演で聴かせた7番もその演奏の崇高さは大指揮者の最晩年を飾るにふさわしい超名演でした。ヨッフム以降のブルックナー指揮者としてはヴァント、朝比奈、スクロヴァチェフスキなどが掲げられましょうが、おそらく小島さんも私に同感していただけるでしょう、ブルックナー好きにはヨッフムの方がより心に響くのではないかと考えています。