2011年10月09日
ケンペ&チューリヒ・トーンハレ管のブルックナー:交響曲第8番
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
1971年11月12・13日、チューリヒ・トーンハレに於けるスタジオ録音。
"幻の演奏"とされてきたこのケンペの「ブル8」は噂に違わず奇跡の如き感動的な演奏だった!
重厚でスケールが大きい。かと言って大言壮語する訳でもない。わざとらしいところも皆無。素朴でもある。最高級の名演奏だと思う。
豪勢なブルックナーに慣らされた耳には、透明な光と山の頂から見下ろすかのような大気感を感じさせるこの演奏は新鮮だ。
ブルックナーの交響曲は人間がみた世界でなく、神からみた描写世界ではないだろうか。
その意味で曲の中に作曲者自身の存在が感じられず、そこがベートーヴェン、ブラームスやほかの作曲家と決定的に違う。
だから指揮する人が自分を前面に押し出すと全く的外れな音楽になってしまうし、逆にそれが解っていればある程度の崩しがあってもよくインテンポに拘わらなくともよい。
少なくともブルックナー指揮者と言われる過去の巨匠はそのことをよく理解し指揮しているが、それを最もよく体現してたのがケンペではなかっただろうか。
変に効果を狙うでもなく曲自体に語らせる職人芸はケンペならではである。
1970年代にこれだけのブルックナーを演奏していたとあらば、ケンペは間違いなくその時代の、ブルックナー解釈の第一人者だったろうと言える。
ブルックナー・ファン、ケンペ・ファンには必聴の名盤と言いたい。
このような名演を聴くとケンペという人が(指揮者としては)若くして亡くなったということが惜しまれてならない。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。