2011年10月29日
マタチッチ&スロヴェニア・フィルのブルックナー:交響曲第7番
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1984年6月19-22日、ユーゴ、ツァンカリュヴ大ホールでの録音。
マタチッチ(1899-1985)の同曲2度目の録音で、おそらく最後の正式のスタジオ録音盤である。
これは、間違いなくマタチッチの最上の遺産である。
マタチッチが母国ユーゴのオーケストラを指揮した演奏で、オーケストラはいささか弱体な感もあるが、見事なアンサンブルで感動的な音楽を聴かせる。
演奏は第1楽章の冒頭から清澄この上なく、透明至純な響き、寂とした雰囲気は旧盤の比ではない。
ブルックナーの印象的な旋律が、聴き手の心を包み込むように歌われるが、その表情は深く、透明で、詩情に満ちている。
第2楽章アダージョの諦観ただよう美しさは絶品で、内面的で孤高の美を表し、聴く者に痛切に訴えかける。
スケルツォはさながら魂の祭典にまで高められている。
終楽章のコーダは力強く、マタチッチ本来の男性的なたくましさが示されている。
マタチッチの素朴な豪快さと、全身全霊をもって音楽に打ち込んでゆく迫力を何とたとえるべきであろう。
その気骨ある堂々とした表現は、ブルックナーの音楽が単なる響きの壮麗さだけでない巨大な構築物であることを知らせてくれる。
その意味で、マタチッチのブルックナーはベートーヴェン演奏の延長であると言っても過言でなく、主題の発展、展開、それぞれを無駄なく機能させている。
マタチッチの演奏が常に高い緊張度で持続し、そして感動的であるのはそれゆえと言える。
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