2011年11月29日
小林研一郎&アーネム・フィルのチャイコフスキー:交響曲第5番
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2005年4月6-8日、ナイメーヘン、コンセルトヘボウ・デ・フェレエーニヒング DSD レコーディング。
レパートリーの少ない小林研一郎だが、その中の極めつけはチャイコフスキーの5番である。
ムラヴィンスキーも凄いし、ストコフスキーも愉しいが、筆者は両者を折衷したような小林型を第1に採りたい。
この曲を最も得意とし、彼のレパートリーのトップに置いている小林の表現は、音楽の細部までを完全に自分のものとして消化しつくし、しかも旧録と変わらず目いっぱい振る舞っているところが凄い。
テンポは大きく変化し、楽器や表情は彫り深く抉りぬかれ、随所で情熱が爆発する。
第1楽章の序奏部から指揮者の感情が全開しているが、主部の雄弁な語り口には、まさに自分の土俵で相撲をとっているような自在感があり、第2主題、第3主題のテンポの落とし方は旧録よりもずっと自然になったが、それでも初めて聴く人をびっくりさせるだろう。
直後の一気呵成の疾走も凄まじい。
コーダでは大芝居が待っており、その冒険はセクシーでさえある。
第2楽章は目いっぱい感情をこめているのに完熟の味わいがあり、第3楽章のファゴットのテーマには往年の指揮者と同じルバートがかかる。嬉しい。
そして、フィナーレの躍動的な大迫力!
小林はまるでチャイコフスキーの5番を指揮するために生まれてきたような音楽家だが、数えきれないほど演奏しているのに、どこにも慣れを感じさせないのは立派だし、アーネム・フィルも極めて上質である。
これは数ある小林のチャイコフスキーの5番の決定盤かもしれない。
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