2007年12月19日
シェリングの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ(新盤)
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最近はバロック・ヴァイオリンによる演奏も含めて、《無伴奏ソナタとパルティータ》をさまざまな様式で聴くことができる。
それは、バッハの音楽が持つ包容力の大きさを示すものではあるが、多彩な演奏を聴いていると、時として端正で折り目正しい演奏を聴きたくなる。
そのような時に、まず思い出されるのがシェリングの演奏である。
シェリングの弾くバッハは、《無伴奏ソナタとパルティータ》に限らず、常に明確な構成力と豊かな感情に裏付けられている。
それが演奏に安定感をもたらし、ひとつひとつのフレーズに表情を与え、結果として堅固でスケールの大きな演奏を生み出す。
シェリングの演奏は決してヴィルトゥオジティを意識させることはなく、ヴァイオリンの美感を強調することもない。
それはヴィルトゥオジティが音楽の本質と固く結びついているためで、感覚に媚びることがない。
そこから自然に生ずる格調が、聴く人に音楽を高い次元にあると意識させるのである。
バッハの厳しく深い精神と暖かく豊かな人間性がヴァイオリン・ソロという最小限の媒体を介して表現されている音楽を、シェリングは謙虚な姿勢と強い確信をもって演奏している。
シェリングは《無伴奏ソナタとパルティータ》を2度録音しているが、円熟期に録音されたこの再録音を採るべきであろう。
解釈がいっそう深まり、音楽との一体感が強まっているからである。
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