2011年08月04日
ツィマーマン&小澤のラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番&第2番
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ラフマニノフはツィマーマンの初録音。
センスのよくないピアニストの手にかかると、まるで甘味が多すぎて辟易とすることもあるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番だが、ここにおけるツィマーマンのピアノを聴いて甘すぎると感じるような聴き手は多分ほとんどいないだろう。
もちろんここに甘味がないわけではない。必要な分だけは、しっかりと用意されている。
だが、少しも過剰になっていない。
すべては並々ならぬツィマーマンの自覚に裏づけられた強靭な音によって描き出されていく。
ここではラフマニノフの音楽固有の情感も、空中に霧散していくのではなく、大地にしっかりと刻印されているかのようだ。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、旋律が実に甘く切ないものであり、どうしてもそうした表面上の美しさの方に心が奪われてしまいがちであるが、ツィマーマンのピアノは、もちろん美しさにおいてもいささかも欠けているところはないものの、あたかもベートーヴェンのピアノ協奏曲に接する時のような深沈とした深みやドラマティックな要素を兼ね備えているのが素晴らしい。
とかく前時代的であるとかロシアの哀愁誘う作曲家であるなどと、いささか通俗的と過小評価されているラフマニノフによるピアノ協奏曲を、それこそベートーヴェンのピアノ協奏曲にも比肩し得る大芸術作品の域にまで引き上げたと言っても過言ではあるまい。
そのことは、もちろん、併録された第1番の協奏曲にもあて嵌る。
最近は大病を患って健康状態に大きな不安を抱えている小澤ではあるが、本演奏ではパワー全開であり、情感の豊かさにおいても力強い生命力においても申し分がない。
ボストン交響楽団も美しさの極みとも言うべき名演奏を繰り広げており、重量感溢れる迫力においてもいささかも欠けるところがない。
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