2014年02月03日
アルゲリッチのシューマン:幻想曲ハ長調&幻想小曲集
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アルゲリッチの面白さを堪能できるディスクだ。
最も好きな作曲家はシューマンと語るアルゲリッチであるが、これまでのところ、幻想曲ハ長調 Op.17と、幻想小曲集 Op.12に関してはセッション録音はほかに無いようなので、この若き日の録音を収めたアルバムの存在は貴重である。
古今東西、シューマン的な魅力を発揮するピアニストといえば、誰でもまずアルゲリッチを考えるだろう。
ここでのアルゲリッチの演奏は、シューマン若き日の楽想の変化の激しさを見事に表したもので、激したり沈んだりする多彩な表情と音色の変化の目まぐるしさは、名手アルゲリッチとしてもこの時期(1976年)だけのものかもしれない。
彼女の演奏はシューマンの作品に対する内省的な洞察があるとともに、この作曲家の外へ燃え出る強烈な表出力と深く沈下する情熱が見事に調和しているのである。
それはまたCDでありながら演奏の一回性を強く実感させる。
実に素晴らしい独自のシューマンの主張として、強い説得力を持つ音楽だ。
アルゲリッチの特色が最大限に発揮されており、それゆえに息もつかせぬ面白さを満喫できるのは《幻想小曲集》である。
これ以上ロマン的な表出は不可能を思われるほど自由奔放であり、アルゲリッチのインスピレーションと歌が強く押し出され、独自の世界を繰り広げてゆく。
感興のおもむくまま、奔放に弾きあげた演奏で、しかもロマン的な情感が濃厚に漂っている。
それに比べれば《幻想曲》は抑制が効いているが、ここでも各曲をファンタスティックに精妙に弾きこんでいる。
ホロヴィッツがパステルカラーの絵ならば、アルゲリッチは油絵といった感じで、静と動、明と暗の対比をくっきりとつけながら、感興のおもむくまま、各曲を即興的に弾いているのが特徴だ。
ピアノの小品集と思って聴くと驚かされるような、力の入った熱っぽい演奏である。
1976年、アナログ後期におこなわれたセッションでのステレオ録音のため、そうしたアルゲリッチの切れ味鋭い音から繊細な音まできちんとしたクオリティで収録されているのもポイントである。
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