2011年12月22日
カラヤン&ベルリン・フィルのショスタコーヴィチ:交響曲第10番/バッハ:ブランデンブルク協奏曲第1番(1969年モスクワ・ライヴ)
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1969年5月29日、モスクワ音楽院大ホールに於けるライヴ録音。
カラヤン&ベルリン・フィルの史上最高の名演奏の一つとされるモスクワでのショスタコ10番が、今やこうして手軽に聴けるのは喜ばしい限りである。
再録音も含めあれほど夥しい録音を残したカラヤンが、なぜかショスタコーヴィチだけはこの曲しか録音していない。
しかも不思議なことに、この曲だけを2回スタジオ録音している。
その理由は不明だが、どこかこの謎めいた暗鬱な曲に共感する点があったのかもしれない。
そのためだろうか、カラヤンにしては異例なほど沈鬱な表現や、劇的という範疇を越え、何かに取り憑かれたような切迫した表現が目立つ。
ベルリン・フィルの超絶的な巧さには凄みすらある。
カラヤンがモスクワの聴衆に対してこの曲を取り上げたのは、ベルリン・フィルの表現力を誇示するためではなかったかと思えるほどで、今でもこれほど完璧な演奏はもはや望めないのではないかと思わせるほど見事で効果満点である。
緊張感に満ちた集中力と燃焼度が高い演奏で、ここには舞台に生きる演奏家たちの止むにやまれぬ魂の燃焼がある。
また会場の雰囲気は「ピン」と張り詰めたもので、西欧の誇る最高の指揮者とオケが、モスクワの聴衆に立ち向かうかのような緊迫感がある。
作曲者であるショスタコーヴィチ自身が聴いていたライヴでもあり、その作曲者自身が満足したと言われるこの演奏は、ショスタコーヴィチ「交響曲第10番」の一つのスタイルが確立した記念すべきライヴでもあったようだ。
カップリングされているバッハはカラヤンらしくこってりとした仕上がりで、古楽器によるバッハを聴いた耳からはちょっと胃もたれしそうな演奏だ。
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