2011年12月31日
アシュケナージ&ショルティのベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集
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アシュケナージのベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集は、後のメータ&ウィーン・フィル、クリーヴランド管との弾き振りの録音によって、最初のショルティ&シカゴ響との録音は影が薄くなった感は否めないが、ここでのアシュケナージは(もちろん極めてすぐれたものであるが)、比較的標準的なスタイルに近く、特に《皇帝》では最も万人向きの名演を聴かせる。
アシュケナージはまだこの録音時35歳であり、彼の最後のコンクールである、1962年のチャイコフスキーからはまだ10年しか経っていない。
全体的にはフレージングといい、フィーリングといい、優等生のそれであって、際立って個性的というわけではない。
とはいえ、もちろん、後の彼を思わせるような部分は萌芽として存在しており、磨かれた音色と無理のない表情、きっぱりとした中に多様なニュアンスを秘めている。
ことに第3番では、30代のアシュケナージが完成された大家のような深みのある表現を行っている。
第4番では彼は意識してピアノの音色を変えておりペダルを多用し、音量の変化に幅を持たせ、強弱の起伏をくっきりとつけている。
なかでも第2楽章は練り上げられた美しさと精神的な深さを感じさせる演奏だ。
これに対するショルティは、すでに将軍格の指揮者であり、シカゴ響は世界でトップを行く最強のオーケストラであり、この新人を迎えて、いつものように見事な統制と、輝かしい音とで歓迎の意志表示をしている。
全体の作り方はシンフォニックであり、弱音でオーケストラがピアノをバック・アップする時でも、重要な動機などはショルティは十分に歌わせて、単なる伴奏の役ではないオーケストラ作りをしている。
ショルティの棒は切れ味のよいリズムで、ベートーヴェン的な雄大な性格が見事に再現されている。
指揮者とオーケストラに関しては、全3回の録音で、この時のものが最もすばらしいといえる。
ただ、時にピアノはオーケストラの波に巻き込まれるようなところもあり、ソリストと指揮者の年齢差、貫禄の差を感じさせることもあるが、それは致し方のないところであろう。
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