2011年12月16日
サージェント&ロイヤル・フィルのスメタナ:連作交響詩「わが祖国」
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1964年2月26〜28日、ロンドン、アビー・ロード第1スタジオでの録音。
実は『わが祖国』で、筆者が秘かに愛聴しているのが、このサージェント盤である。
故サージェントはビーチャムと並ぶ高名かつ典型的なイギリスの音楽家である。
音楽はあくまでジェントル、強烈な個性には欠けるが穏やかな味わいと気品を持つ。
サージェントの指揮は、いかにもイギリス紳士らしい品の良い堅実なもので、自国イギリスや北欧の作品には手腕を発揮したものだが、こうした民族色の濃い作品はどうやら肌に合わなかったようだ。
このCD、名演目白押しの大名曲だけに較べられると少々つらいが、かといって音楽が違うという事はない。
6曲とも明確な棒で丁寧に仕上げているが、全体に表情が端正すぎ、人によっては、もう少しスラヴ的な熱っぽさ、たくましさが欲しいところであろう。
スメタナやドヴォルザークなどの、いわゆるスラヴ系の音楽は、郷愁をソソるような節回しが特徴で、それを「誇り高きわれらが民族」的な解釈の熱い演奏に仕上げて成功したのが、名盤で知られるクーベリックだと思う。
ただ、郷愁とは情熱であると同時に「やすらぎ」でもあるはずだ。
このサージェントの演奏は、決して最上の録音ではない。
しかし安心して耳を傾け、大人の視線で見守られている、みたいな、静かな気持ちになれる。
数々の熱演型名演盤に辟易した方にお薦めしたい。
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